物件の囲い込みとは?売主様にとって不利益になることも
2021/10/17
不動産の囲い込みって何?
不動産の囲い込みとは、売主様より媒介契約を締結し売却依頼を受けた
不動産会社が両手契約を目指すために、他社の案内や契約をさせない行為の事です。
簡単にいうと、売主様から売却依頼を受けた不動産会社は買主様も自社で見つけて
買主様側の仲介も自社ですれば売主、買主双方から手数料が受領できる為です。
(例)①3,000万円の物件をA社が媒介を受け、買主もA社仲介の場合 *仲介手数料は3%と仮定
A社の仲介手数料=3,000万円×3%=90万円×2=180万円
②買主はB社が仲介し、片手仲介となった場合
A社の仲介手数料=3,000万円×3%=90万円
☆両手仲介が出来れば、仲介手数料が2倍受領できることになります。
囲い込みはどの様に行われるのか?
囲い込みは基本的に一般媒介契約(売却依頼を複数にする)ではほとんどありません。
何故なら仲介手数料は成約して初めて発生する成功報酬ですので、一般媒介物件が
他社で成約するくらいなら、片手仲介でも仲介手数料が受領できた方が良いからです。
問題は専属専任、専任媒介契約(売却依頼を1社に限定)の場合は、不動産流通機構(レインズ)という
ネットワークに依頼を受けた物件を登録する義務があるので、登録されるとそれを見た他社から
資料請求があり、お客さんに紹介し、案内希望があれば売主担当業者に案内希望を伝え
日程調整し、他社を通じご案内、商談が入る流れになります。
囲い込みをする業者や営業は、案内希望や具体的な商談が他社で発生した際に、
『自分が忙しくて今週は案内できない』、『自分のお客さんで申込が入るので待って欲しい』等々
出来ない理由をつけて、案内や申し込みを受け付けてくれません。
売主様には何がデメリットになるのか?
では囲い込みの場合、売主様のデメリットとは何なのか?
仮に囲い込みをされても、売主様の希望金額、その他条件で成約に至れば
正直な所、売主様にとってのデメリットはほとんどありません。
但し、囲い込みによって売主様の手取り金額が変わるデメリットも実際にあります。
①反響が無い、価格を下げないと難しいといわれ価格を下げて媒介業者の両手契約で
成約したが、実際には他社顧客は下げる前の金額で検討していた
②金額交渉が媒介業者の案内客で入り、了承して契約したが
他社の顧客は金額交渉なしでも成約する可能性があった。
③囲い込みにより、他社が自社顧客に紹介する機会を逃し販売が長期化した等々…
囲い込みを防止するにはどうしたら良い?
私が新卒で大手不動産会社に入社した2005年4月、その頃は自社含め他社も多くの会社が
原則、専属専任媒介、専任媒介物件は特に新規媒介や価格変更直後は囲い込みをする所が
多く、ほとんど他社の媒介物件に客付けし、片手仲介をする機会はありませんでした。
その後、国土交通省やマスコミ等も不動産業者の囲い込みを問題視し、報道もなされたこと
レインズに新たに状況の記載事項(紹介可、申込有、契約予定)が義務化されたこと
専属専任、専任媒介契約を締結したい売主様には自分の依頼した物件の状況がレインズで
見れるように売却依頼時にログインIDを渡すことが指導されたこともあり、
以前よりは大分少なくなってきましたが、まだしているところも少なからずあります。
・防止策としては媒介後レインズID等を交付しない業者には確認すること
・依頼後、案内・商談客が自社ばかりの時は自分から他社に紹介しているか確認すること
・怪しいと思ったら、他社に連絡し囲い込みされていないか確認すること
中には自分で不動産業者のふりをして、紹介可能か連絡する方もいらっしゃいます。